18歳の夏、私はこの異様な空間にいた。
みんな怖い顔。看護婦さんも気になる、、、。
P氏が重い口調で「お義父さん、ガンであと3か月だ、、、」
(何言ってんの?これ夢でしょ?)
夢でないのは自分が一番よくわかっている。初めてのこの感情をどう表現したらよいのか今でもわからない。絶望感、恐怖、悲しみなどの感情をすべて味わっているような、、、
どうやって病室に戻ってきたのか、あの後どんな話があったのか全く覚えていない。気がついたらベッドに居て右側に点滴が見えた。しばらくぼーっとしてすべてを理解した。
看護師さんが「やっと起きた!二日も寝てたからお腹空いたでしょう。」二日もか、、、、、
私は自ら退院した。入院なんてしている場合ではないと思った。
P氏が居なくても、何とか何とかやり過ごすことはできた。
この頃から様々な辛さを紛らわすためにアルコールを飲むようになっていた。
私は四歳の時に初めて死を意識して泣いた。
死を考えると発作に近いような状態になる。自分のすべてがものすごく大きい宇宙のような渦にぐおぉーーっと巻き込まれていき、意識が遠くなり幼い自分でもこのままではいけないと思い考えるのをストップさせほかのことを考えるようにしていた。
それは時々やってくる。今でもある。
死とは?父が死ぬ。父の感情、魂はどこへ行く?答えのない考えは止まらない。
カウンセラーに「死んでいくお父さんを見るのではなくて、今生きているお父さんを見てください。」と言われた。まだ一度もあれから会っていない。父には余命の話はしていない。
あの時から初めて父のお見舞いに行く日が来た。
何も知らずに、すぐに退院できるとしか思っていない父を見るのはとても辛かった、、、、。
父が亡くなった日のこと。
父はその日の朝から家に帰ると何回も駄々をこねていた。
わかっていたんだろう、、、。
何回もベッドに寝かせても起き上がり暴れるので、点滴に安定剤が入れられた。
数分後に落ち着き、そのまま逝った。
雪の降る寒い冬の真夜中。
父は44才でこの世を去った。
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次回は 記憶障害とアルコール のおはなしです。